針灸指圧自然堂

開設20周年、安心と信頼の治療院
世田谷区祖師谷大蔵下車 徒歩2分

筋膜(Fascia)の概略

筋膜に関してはオステオパシーやロルファーの間では40年ほど前から注目されていましたが、ここにきて脚光を浴び始めた理由の一つに画像診断装置(エコー)の性能が向上したことが挙げられると思います。10年以上前にエコーで骨折が診断できるということで我々の業界の間でも話題となりましたが、その時の画像はまだまだ鮮明でなく、レントゲンの代替にはなりえない代物であったと記憶しています。

しかし、最近の技術の進歩は目覚ましく、筋肉の動きや筋膜の状態などが視覚的にとらえるようになり、さまざまなことが分かるようになってきました。ここ数年、国内外において筋膜に関する研究、リサーチやリポートの数は飛躍的に増えてきています。

鶏のファシア この写真は鷄肉ですが、青い矢印の部分の薄い膜が筋膜(ファシア)になります。従来、解剖などでは筋肉の状態をよく見るために、邪魔なものとして扱われていました。しかし、最近の研究では筋膜は単なる筋肉を包んでいる膜ではなく、全身をボディースーツのように覆っている一つのネットワークの働きがあることも分かってきました。

筋膜の重積(シワ)は凝りや痛みの原因となる

筋膜の構造浅筋膜や深筋膜、筋外膜が重積・癒着した状態にあると、それぞれの組織の滑走性が悪くなり、筋肉が正しく動くことができなくなると考えられています。この動きの悪くなった部位は凝りであったり、トリガーポイントのできやすい状態になります。そして、トリガーポイントが活性化すると痛みとして感じるようになります。

その要因として次のようなことがあげられます。

  • 日常生活で動かないこと
  • 継続的な精神的ストレス
  • 怪我
  • 炎症
  • 手術 など

長時間の同じ姿勢は身体の歪みやねじれを生じます。パソコン業務や車の運転、運動不足など、まさに現代人のライフスタイルは筋膜が重積しやすい環境にあります。また、精神的ストレスは、交感神経の緊張状態を持続させ、心身共に緊張した状態となります。

怪我の回復では、筋肉は数日~数週間、筋膜はさらに時間がかかるといわれています。そして、怪我や痛みによる代償動作は身体に歪みを生じる要因ともなります。筋膜がねじれてしまうと、凝りや痛みを生じるだけでなく、血液やリンパ液の流れも滞り、神経の伝達を妨げる原因となるのではないかともいわれています。

テンセグリティーの考え方

テンセグリティー テンセグリティ(tensegrity)とは、「Tension(張力)とIntegrity(統合)」の造語で、アーティストのKenneth Snelson(ケネス・スネルソン)の彫刻にはじまり、R. Buckminstar Fuller(R・バックミンスター・フラー)により提唱された概念です。 張力(輪ゴム)と圧縮(木材)のバランスでできている構造体で、圧縮材が宙に浮いているのが特徴です。

このテンセグリティの考え方は、この数年、特にマニピュレーション(手技療法)の方面から注目されています。手で上から押さえてつぶしても、張力により復元する構造になっています。

このことを身体で考えてみると、従来であれば肘を曲げるのは上腕二頭筋の働きということになりますが、上腕二頭筋だけでなく胸や背部にも影響が及んでいるかもしれないし、下肢にも関連があるかもしれないということです。 そのひとつのキーワードがfascia(ファシア)なのです。

筋膜リリース

筋膜リリース 筋筋膜にアプローチする手技療法(マニピュレーション)は多様で、テクニック重視のものから、やや難解な哲学的なものまで多岐にわたります。施術者は治療をするというよりも、クライアントと一緒に治療を進める、いわばファシリテータ―の役割が大きいかもしれません。

筋膜は身体全体を覆っていることから、「第二の骨格」とも呼ばれています。先にみたように、筋膜が伸長するのではなく、ねじれ(癒着・重積)を生じることで筋膜の動きに制限を生じ、筋骨格系全体の身体平衡のバランスが崩れてしまいます。その結果、関節可動域の低下、アライメントの不良、筋の弱化などが起こり、循環障害や触知覚異常、疼痛を生じることにもつながります。

そこで、筋膜リリース行い、筋間や筋と他の組織との滑走性を回復し、バランスのとれた姿勢を獲得します。その結果、軟部組織固有感覚の感覚機構がリセットされ、正常な機能的動作が可能となるように、再プログラミングします。

筋膜リリースの方法は、従来のマッサージや指圧などとは異なり、穏やかな負荷(刺激)で行います。揉んだり押したりするのではなく、伸ばされる感じという印象です。具体的な方法については割愛しますが、人によっては不思議な、初めてな感覚かもしれません。

また、治療が進んでくると、身体(筋膜)のリリースだけではなく、感情や情緒もリリースされることがあります。心や感情をブロックしているものが緩んでくるに従って、身体症状に変化が現れることもしばしば経験します。まさに、心身相関ということでしょう。

針(ハリ)による筋膜へのアプローチ

経穴人形鍼灸(はりきゅう)は古代中国において、紀元前から行われていた伝統的医療ですが、その体系に「筋膜」という概念はなかったと思います。しかし、意識するしないにかかわらず、実際に鍼を刺すという侵害刺激は筋膜に対して何らかの影響を与えているということができるでしょう。そこで、筋膜の特性を知ることで、さらに効果的なハリ治療が可能であると考えています。

経穴(ツボ)にはいろいろな特性がありますが、体表を触診すると陥凹しているところや硬結、筋張っている場所、押して痛むところなどさまざな状態があります。また、筋硬結や索状の硬結などはトリガーポイントの指標にもなっており、経穴との共通性について語られることもあります。

これらの他とは異なる反応点と筋膜のねじれ(癒着・重積)の相関関係はどうなっているのか。これらについては、今後の研究課題ですが、体表は平面でも身体は重層構造になっていますので、エコーで観察するとさまざまなことがわかるのではないかと期待しています。

ブログの記事も参考にして下さい。