されどマッサージ
手技療法の概要
近年、リラクゼーションや癒し系ブームも相俟って、街中にマッサージや整体の看板をよく見るようになりました。それだけ求めている人が多いということなのでしょうか。また、女性誌やテレビなどのメディアに頻繁に取り上げられたり、美容室やブティックのような明るくオシャレな作りの店舗が増えてきたこともその一因でしょう。
そうはいっても、初めてマッサージや整体に掛かるには躊躇する人が多いのではないでしょうか。
私自身も知らないところに飛び込みでマッサージを受けるのには勇気がいります。修行時代にいくつかの治療院などに勤務した経験から、同じ整体院やマッサージ院の中でも施術者の技量の差が大きいことを経験しているからです。初心者から30年のベテランまで一緒くたですので、いうなれば当たり外れが大きいということです。
海外ですと経験やテクニックによってランク付けがされていて、それぞれ料金が異なっていたりします。このシステムの方が、受ける方としては安心感がありますね。しかしながら、施術者側からすると競争原理が働きますのでシビアな状況にはなります、、。
ボディーセラピーや○○整体、指圧、マッサージ、リフレクソロジー(足裏マッサージ)などいろいろな名称がありますが、あんま・指圧・マッサージは国家資格であり、その他は民間療法です。
手技療法の歴史は大変古く、日本だけでなく世界各地にみられます。手当をして病気が治った話が古事記や聖書など古い文献にも記載されています。手技療法は各々が独立してるというよりも風土・気候・民族・宗教などの影響も受け、様々に変化・発達しています。
マッサージ(Massage)は、アラビア語の「Mass(おす)」とギリシャ語の「Sso(こねる)」を語源とし、その歴史は古く、紀元前まで遡ることができます。日本には明治20年、橋本乗晃氏によりフランス流のマッサージが伝えられ、古来の按摩と融合され医療現場で物理療法や運動療法として行われたとされます。
本来、マッサージはオイルやパウダーを使い、直接皮膚に施術しますので、普段マッサージと称して、服の上から行う方法は、より按摩的と言えるでしょう。マッサージ・按摩・指圧などは、きちんと理論や手技方法に違いがあるのですが、実際は厳密に区別して行っている人は少ないかもしれません。
東洋医学では作用・効果を経絡や気血により説明しています。経絡とは気血の流れる河のようなものです。これは血液・神経・リンパ液でもなく、目で見ることもできません。そのため現在でも経絡の存在については様々な議論が続いています。しかしながら東洋医学を行う者にとって、経絡を抜きにして考えることはできません。脈々と受け継がれてきたその思想体系には、先人のすばらしい知恵が隠されているからです。
各論でそれらの違いと特徴についてみていきましょう。