養生と鍼灸
東洋医学の特徴
鍼灸の施術を受けようと思われる時、多くの方は、〇〇が痛い、肩が凝る、頭痛がする、疲れが取れない等、何らかの自覚症状があるのではないでしょうか。また、医療機関を受診したがなかなか症状が寛解しない、薬に頼りたくないなどの理由かもしれません。
鍼灸理論の基本となる東洋医学(思想)では、からだに対して現代西洋医学とは異なる考え方をします。
「現代西洋医学は穴に落ちた人を助ける医学であり、東洋医学は穴に落ちないようにする医学である」
言い得て妙ですね。
未病を治す
是故聖人不治已病治未病、不治已乱治未乱、此之謂也。『霊枢』四気調神大論
「優れた人は病気になってから治療をするのではなく、病気になる前に予防するのであり、国を治めることでも騒乱が起きてからでなく未然に防ぐことが大切である」と説いています。
それは病気になる前にからだのバランスを整え、健康を維持する、まさに「転ばぬ先の杖」です。凝りや痛みは不快なものですが、裏を返せば「からだからのメッセージ」です。からだの声に耳を傾け、養生することが健康の秘訣です。針灸やマッサージはその最も効果的な解決方法です。
どうして病になるのか
江戸期の鍼灸書『鍼灸抜粋』には次のような記載があります。
百病は気より生ず。怒る時は気のぼり、喜ぶ時は気ゆるし、悲しむ時は気消ず。恐れる時は気くだる。驚く時は気みだる。労する時は気耗す。思う時は気むすぶ。暑き時は気泄す。寒き時は気おさまる。
子和曰く、天地の気常になるときはやすく、変するときは止む。人は天地の気をうく。五運をたがひに外を侵し、七情こもごも内にたたかう。かるがゆえに古人は気を惜しむこと至れる宝をもつがごとし。諸病はみな七情よりおこる。七情なくして飲食房事をたしなむ人は寒暑にもさへられず、易く千歳をも持つべし。
鍼灸は気の医学とも言われています。「気」というとなんだか怪しげですが、健康な状態ではからだ全体を隅々まで気が巡っていると考えます。そして、何らかの原因によりその流れが滞った状態を未病、さらに症状が進むと痛みを生じたり、病となります。
鍼灸医学では病の原因を内因・外因・不内外因の3つに大別しています。
内因
喜怒憂思悲恐驚の七つの感情です。過度な感情の変化や不安定な心の状態と考えることができます。
外因
暑邪とか寒邪などの外から影響を与えるもので、そのほかに風邪・湿邪・燥邪・火邪などの六邪があります。天候不順や季節の変わり目、夏場の冷房なども該当するでしょう。
不内外因
そのほかの原因で、外傷や疲労、残業や過度のストレス、座りっぱなしや営業で歩き回ったり、パソコン業務の眼精疲労などなど、房事過多、だらだらと過ごす(運動不足や不規則な生活)、飲食問題(過食・偏食・絶食など)のようなことをいいます。
痛みやつらい症状を解消することも大切ですが、その背景にある生活を見直すこともたいへん重要なことです。また、「心身一如」と云うように心や感情の状態も影響しますので、リラックスできる空間や時間を作ることも必要でしょう。
ブログの記事も参考にして下さい。(江戸期の鍼灸書「鍼灸抜粋」を読んで考えた)
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