針灸指圧自然堂

開設29周年、安心と信頼の鍼灸院
世田谷区祖師谷大蔵下車 徒歩2分

顎関節症(TMD)の鍼灸

顎関節症とは

顎関節症は単一の原因ではなく、複数の因子が関与して起こる多因子疾患であるとの見方が主流です。そして、顎関節症は次のように定義されています。

「顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節(雑)音、開口障害または顎運動障害を主要症候とする障害の包括的診断名である。その病態は咀嚼筋痛障害、顎関節痛障害、顎関節円板障害および変形性顎関節症である。」

顎関節症の病態分類

  • 咀嚼筋痛障害(Ⅰ型)
  • 顎関節痛障害(Ⅱ型)
  • 顎関節円板障害(Ⅲ型)
  • 変形性顎関節症(Ⅳ型)

顎関節症の主な発症・増悪因子

顎関節症の女性顎関節や咀嚼筋の脆弱化、咬合異常、交通事故や外傷、睡眠中の歯ぎしり(ブラキシズム)、昼間のくいしばり(クレンチング)、舌習癖、ガムの咀嚼、楽器演奏、荷物の運搬、スポーツなどがあります。心理学的因子として、抑うつ感、不安感、ストレス、睡眠障害などの関与も指摘されています。

また、顎関節の疼痛や機能障害だけでなく、頭痛や肩こり、耳鳴り、難聴、めまい、舌痛、かみ合わせの不具合、しびれなどの随伴症状があることもよく見られます。

肩こりや頭痛を主訴として来院された方に詳しくし話を聴いていくと、朝起きたときに顎が重いとか、硬いものが噛めない、時々口が空きにくくなる、口をあける時にコキンコキン音がする、歯ぎしり、くいしばりなどの症状がある方もいらっしゃいます。しかし、症状には軽重ありますが、あまり気にしていない方、肩こりや頭痛の要因の一つになっているとは考えていない方も少なくありません。

顎関節症の治療

米国歯科研究学会(AADR)の「TMD Policy Statement」によると保存的で可逆的、エビデンスに基づく治療法を推奨しています。

It is strongly recommended that, unless there are specific and justifiable indications to the contrary, treatment of TMD patients initially should be based on the use of conservative, reversible and evidence-based therapeutic modalities.

病態が咀嚼筋にあるのか、関節部にあるのか、また混合タイプであるかの診断は重要ですが、保存療法としては、まず増悪因子がはっきりとしていれば、それを取り除くこと。硬いもの(スルメ、せんべい、フランスパンなど)を食べたり、ガムの咀嚼、くいしばりを意識したり、ストレスの軽減、コントロールなど日常生活・動作の見直しを行います。症状が慢性的であれば、咀嚼筋を始め、頚部や背部にも緊張や凝り、痛みがありますので、マッサージを行うこともよいでしょう。

医療機関では、病態によって薬物療法やスプリント療法、心理療法、外科療法などが行われるようです。

歯ぎしりとくいしばり

睡眠中の歯ぎしり(ブラキシズム)や昼間のくいしばり(クレンチング)の原因についてはまだ、はっきりとわかっていません。可能性として、ストレスはよく指摘されますが、睡眠障害やアルコールの摂取、睡眠時無呼吸症候群、遺伝的な素因なども考えられています。

就寝中に隣で寝ている方が歯ぎしりをして、ギリギリとする音が聞こえてビックリされた方もいらっしゃるかと思います。歯がこすれて音が出るには相当な力が歯にかかっていると想像されます。歯科受診で歯が摩耗していると指摘された方もいらっしゃるかもしれません。一説には、ノンレム睡眠(深い眠り)からレム睡眠(浅い眠り)に移行するときに、脳の働きが活性化することがあるようです。

顎関節症の鍼灸療法

局所療法

顎関節症の取穴疼痛の軽減、筋緊張の緩和を目的として反応のある筋筋膜に対して鍼灸を行います。咀嚼筋は咬筋、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋の4種類の筋肉になります。

圧痛や硬結、関連痛などを考慮して、上関、下関、頬車、聴宮、阿是穴などの腧穴から取穴します。その中にはトリガーポイントと一致している腧穴(つぼ)も少なくありません。

経絡的にみると、上関は少陽、下関・頰車は陽明、聴宮は太陽になります。流注上の反応点や原穴などを使用することもあるでしょう。

全体療法

咀嚼筋だけでなく、胸鎖乳突筋や板状筋、僧帽筋、脊中起立筋などの過緊張・硬結を緩和し、血液循環の改善を図ることも有効です。また、痛みの閾値が低い(敏感な)場合は、局所にアプローチをせずに、遠隔部位に施術を行った方がよい場合もあります。

中医学的には寒湿痺阻、肝腎不足などが考えられます。全体療法の方法にはさまざまなものがありますので、ここで紹介しているものはその一部です。

『鍼灸大成』の口噤の項では次のような腧穴を取穴しています。古典の記載も参考になります。

口噤:頰車、支溝、外関、列缺、内関、厲兌

古典には自律神経については直接的には書かれていませんが、虚したところを補い、気血の滞りを改善すると結果として呼吸も楽になり、リラックスした状態となります。交感神経が緊張した状態は筋緊張(凝りや痛み)も緩和しにくくなります。局所だけでなく、全体のバランスを整えることも必要なことです。この全体療法の考え方は鍼灸の特徴といえるでしょう。

参考文献:『医学大辞典 第20版』南山堂

(2016/12/21)

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祖師谷で開設29年、安心と信頼の鍼灸院|鍼灸指圧自然堂

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