家庭でできる温灸法|棒灸の操作法の紹介

棒灸について

お灸には幾つかの種類と方法があります。昔はコイン大のもぐさを皮膚に直接すえるやり方もありましたが、最近ではやけどをしないお灸法が好まれる傾向にあります。

せ○ね○灸などの台座灸もドラッグストアで購入が可能です。「お灸女子」「もぐさガール」なんていう言葉もあるそうですが、治療に来られる方の中にも自宅ですえている人も少なくないようです。今回は棒灸について紹介します。

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図1.台座灸
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図2.棒灸

もぐさを硬く棒状にして紙で巻いたものを用います。棒灸に火を付け皮膚(つぼ)から3~5センチほど離して使用します。もぐさに当帰や川芎などを混ぜた薬条灸というものもありますが、匂いは独特です。シンプルな棒灸をお勧めします。

安い棒灸は夾雑物が混在していることがありますので、火力にむらがあったり、小さい石が皮膚上に落ちたりする(当然、熱い)ことがあります。あまりケチらずに、そこそこの値段の物を求めたほうがよいでしょう。最近では、ネットで購入も可能です。近くの鍼灸院で分けてもらうのもよいでしょう。

棒灸の操作法

準備と点火

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図3.棒灸の準備

外側の紙をはずし、内側にも薄い紙が巻いてあれば取り除きます。そのまま火をつけて使用する人もいますが、筆者は紙の燃える部分を少なくしたいので、紙を剥いて使っています。

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図4.棒灸への点火

次に棒灸に火を付けます。

棒灸の施灸法

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図5.三陰交への施灸法

 火が安定したら、皮膚から3,4センチほど離して使用します。目安としては心地よい温かさで、5分から20分ほど温めます。初めての方は5分ぐらいから始めるとよいでしょう。

皮膚が弱い人は輻射熱でもやけどをすることがありますので、皮膚が発赤したところで終了した方が無難です。熱さを感じにくい方、我慢してしまう方も時々、皮膚を触って熱さを確認してください。

くれぐれも、やけどと火の管理には気をつけてください。

棒灸の消火法

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図6.棒灸の消火法

施灸を終える時には、水に付けずに火消しツボに差し込んで火を消します。

アルミホイルキャップの作り方

火消しツボがあれば便利ですが、購入すると1000円ぐらいしますので、自分で作りましょう。知ってしまえば何ということでもないですが、知らないと非効率なことは多いものです。鍼灸師でも棒灸を使わない人は知らないかもしれないですね、、。

棒灸の火を消す際に水をかけてしまうと、次に使う時に火がつきにくいという問題があります。「火消しツボ」の原理は酸素を遮蔽することです。つまり、火が燃えるためには酸素が必要となりますので、空気を遮断すればよいということになります。

アルミホイルで作る、棒灸の消火アイテム

作り方はじつに簡単、家庭にあるアルミホイルを使用して作ることができます。

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図7.アルミホイルを準備

アルミホイルを適当な長さにカットします。正方形でOK。

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図8.アルミホイルを加工1

次に半分にたたみます。

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図9.アルミホイルを加工2

さらに、8割ほどの長さを折りたたみます。

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図10.アルミホイルの加工3

棒灸をアルミホイルの端にセットして巻いていきます。アルミホイルの下端から7割ほどの位置に棒灸の先端がくるようにするとよいでしょう。

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図11.アルミホイルの加工4

先端を摘むようにして完成です。

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図12.アルミホイルの加工5

キャップを取り外した状態。

温灸を行うための便利なグッズ

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図13.温灸具

毎日の臨床で棒灸を手に持って10分は大変です。温灸を行うための便利な器具(温灸器)がいろいろと販売されています。

左の3つは、棒灸を穴に通して使用します。右の箱灸は、短くなった棒灸をばらして使用するのですが、煙ですごいことになるので換気は必須です。うなぎや焼き鳥を焼いているように、二三軒先から匂うかもしれないので注意しましょう。

冷え症改善の温灸法

手足の冷えを訴えられる女性の方は多いですが、このような体質を中医学的には「陽虚体質」といいます。 体内の陽気が不足し、熱量の産生が少なく、そして陽気も少ない状態であるため、自ずと冷えを生むと考えられています。このような体質の人は男性よりも女性に多く、また若い人にも多い傾向にあります。

冷えを改善するために温灸が効果があるとの報告がされています。灸の持つ温熱効果と経穴(つぼ)の作用により、温めて全身の経脈の巡りをよくし、虚寒の体質を改善すると考えられています。

使用する経穴(つぼ)

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図14.冷え性の配穴(足三里、大椎、神闕、命門穴、湧泉)

血行を良くする食事として、鉄分を多く含む食品、ビタミンCが豊富な新鮮な野菜や果物、ナッツの摂取、また、昆布、ワカメ、エビ、クラゲや他のヨウ素を含む食品、紅茶なども寒さを防ぐ効果がります。「身体を冷やさない」「適度な運動」など、生活習慣を見直すことも大切です。

※2013/12/4「鍼灸鶏肋ブログ」の記事を加筆修正しています。

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