冷え性に対する鍼灸のアプローチ

身体の特定の部位のみを特に冷たく感じ、耐え難い場合をいう。部位は腰部が最も多く、ついで足部が多い。寒冷期に多く発生する。

その発生機転は自律神経失調による血管運動神経障害であり、該部の毛細管攣縮による血行障害の結果冷たく感じる。更年期障害の女性によくみられる症状であるが、そのほか自律神経調節異常や心身症でもみられる。『医学大辞典』

専門書の説明は硬い文章ですが、冷え性の状態は末梢循環障害であり、自律神経や心因性、ホルモンバランスなどが影響していると考えられています。

冷え性を訴えられる方は、更年期の方だけでなく十代の女性も少なくありません。その部位では腹部よりも手足が頻度が高く、男性よりも女性に多い傾向です。足部が冷えて頭部や顔面はほてるような、冷えのぼせのような症状も見られます。

血液の循環が悪くなることで体の各部に十分な血液や栄養が届かなくなり、冷えを感じやすくなります。

自律神経の乱れ

交感神経が亢進すると、血管が収縮して血流が悪くなります。この状態が続くと、手足の冷えや冷え性の症状が現れやすくなります。

副交感神経の活動が低下すると、体温調節や血液循環がうまく機能しなくなります。これも冷え性の一因となります。

自律神経のバランスが崩れると、体温調節や血行が悪くなり、冷え性の症状が現れやすくなります。特にストレスや過労などが原因となり、自律神経の乱れが生じることがあります。

運動不足

運動不足や長時間同じ姿勢で過ごすことで、筋肉が衰え血行が悪くなることがあります。ふくらはぎ(腓腹筋、ヒラメ筋)の動きはポンプのような働きがありますので、筋力の低下や運動不足は浮腫(むくみ)や冷え、こむらがえりの原因になります。

偏った食生活

栄養バランスが偏った食生活や栄養不足も冷え性の原因になります。タンパク質と冷えの関連を示唆するレポートもあります。

ストレス

長期間にわたるストレスや精神的な不安定さが血行を悪化させることがあります。

自律神経失調症に対する施術を基本とし、気虚・気滞・瘀血・水毒などのタイプに合わせた鍼灸を施します。

こちらも参考にしてください「自律神経の鍼灸」

こちらも参考にしてください「家庭でできる温灸法」

対策としては以下のようなことが挙げられます:

適度な運動

定期的な運動やストレッチを行うことで筋肉を強化し、血行を改善します。適度な運動は自律神経の調整に役立ちます。有酸素運動やストレッチなどを行うことで、ストレスホルモンの分泌を抑制し、自律神経のバランスを整える助けになります。

衣服の管理

防寒対策をしっかり行い、特に足元や腹部など冷えやすい部位を暖かく保つようにしましょう。

栄養バランスの取れた食事

食事に気を配り、魚介類などのタンパク質、ビタミンやミネラルをバランスよく摂取することで体温調節をサポートします。

ストレス管理

ストレスが自律神経の乱れを引き起こすことがあります。ストレスを軽減するためには、適切な休息を取る、趣味やリラックスする活動をする、マインドフルネスや瞑想などのリラクゼーション法を実践するなどが有効です。

適切な睡眠

睡眠不足は自律神経のバランスを乱す要因の一つです。十分な睡眠を確保し、規則正しい睡眠環境を整えることが大切です。

これらの対策を総合的に行うことで冷え性を改善しやすくなります。