鍼灸の施術で解毒(デトックス)は可能か

解毒、デトックスのイメージ

解毒(デトックス)とは

解毒は、体内から有害な物質を排除するプロセスであり、生理学的な作用は複雑で多岐にわたります。身体は自然なメカニズムを備えており、有害物質を排除し、体内の安定を保つために様々な方法で解毒を行います。

中毒を起こしたときに、その薬物のもつ作用への競合や分解、代謝、排泄などを通じて毒性を減少させること、また、薬物が生体内で代謝を受けてその作用が減弱もしくは消失することをさします。

薬物代謝の主要な役割を果たすのは肝臓ですが、解毒反応は肝臓以外にも、腎臓、肺、消化管、脳、血液、皮膚などにおいても起こります。

解毒の作用とメカニズム

代謝と分解

肝臓は体内の毒素を解毒する主要な器官です。肝臓では、毒素や代謝産物が分解され、無害な物質に変換されます。

肝臓のミクロソーム系代謝酵素のシトクロムP-450です。肝臓での薬物代謝は、異物である薬物の極性を高めて排泄を促進する過程です。
第1相では薬物は酸化、還元、あるいは水解を受けます。
第2相では薬物自体もしくはその代謝物が、グルクロン酸などと抱合物を形成します。

排泄

腎臓のろ過機能をを介して体内の老廃物や有害物質が尿として排泄されます。尿中には、体内の余分な物質や代謝産物が含まれています。

消化管を通って有害な物質が体外に排泄されるプロセスです。腸からの排泄は、食物の消化、吸収、排便によって行われます。

汗と皮膚

皮膚を通じて体外に排泄される汗は、身体の冷却とともに、一部の代謝産物や有害物質を含むことがあります。適切な水分摂取と運動によって、汗を通じて毒素を排出するプロセスが促進されます。

肺呼吸

呼吸を通じて、体内で生成された二酸化炭素が排出されるだけでなく、一部の有害物質や揮発性の化合物も排出されます。

二日酔いを想像してください。お酒を飲むと酒臭くなるのは、エタノールなどの揮発性化合物が含まれているからで、呼吸によってもアルコールが排出されるということを意味しています。

抗酸化作用

抗酸化物質(例: ビタミンC、ビタミンE、グルタチオン)は、体内の酸化ストレスを軽減し、有害な活性酸素種を中和して、細胞や組織を保護する役割を果たします。

リンパ系

リンパ液を通じて、体内の老廃物や細胞の代謝産物がリンパ節を経由して排泄されます。

東洋医学の解毒についての考え方

一般に体内あるいは体表の毒素を解除することをさします。『漢方用語大辞典』

血分の熱毒を涼血解毒すること

寒邪が極めて盛んとなり、毒を成すものに、温中散寒の法でこれを去ること

蛇虫犬獣に刺されたり、咬まれておこる所の毒害を解除すること

誤食あるいは接触した毒物を排除したり、あるいはそれによっておこる毒害を解除すること

特定の炮制方法に応じて薬物の毒性を減徐すること、あるいは薬物の配合にしたがって薬物の毒性を緩和すること

中毒:毒物が体内に侵入し、毒性の作用によって生ずる病証です。薬物毒は巴豆、砒霜(ヒ素)、斑猫など、食物毒はアルコール、ふぐ毒、病気の動物などがあげられます。

漢方の汗吐下和(かんとげわ)の治法

汗法:発汗作用のある薬物を服用して、発汗を経て表邪を取り除く方法です。風のひきはじめに葛根湯を処方するのもこの考えからです。

吐法:嘔吐をおこさせる薬物、あるいは物理刺激を用いて咽喉、胸隔、胃脘間の有害物質を嘔吐により排出せせる方法です。

下法:瀉下、攻逐、潤下の薬物を用いて大便を通導し、積滞を消除し、実熱を蕩滌し、水飲を攻逐する治法です。

和法:疏通調和の薬物を用いて、少陽(半表半裏)の病邪を取り除く、あるいは臓腑の気血を調和する方法です。

鍼灸施術による解毒(デトックス)

まずは、文献をあたってみましょう。

『鍼灸重宝記』中毒

「凡そ、砒霜石、斑猫の毒、その外、もろもろの毒に、中る者は、中脘にふかく針して、吐かすべし。また水溝に針して妙なり。」

これは「汗吐下和」でいえば、吐法になります。

『董氏奇穴』解毒穴

金営上穴、金営下穴、分枝穴、骨関穴、木関穴、手解穴、解穴。

経験穴としての「築賓」

中国のサイトを見ると代表的な解毒のツボとして「築賓」がよく紹介されています。足少陰腎経上のツボですので、腎の作用に関係が深いといえます。

伝統的な中国医学で腎臓の解毒によく使用されているとありますが、古典文献には築賓穴と解毒との関係がみられませんので、新しい治法かもしれません。出典は調査中。

生理学的に主に解毒が肝臓や腎臓で行われることを考えると、効果の有無にかかわらず肝や腎の経絡上のツボを取穴するという発想はすぐに思いつくでしょう。

カキなどの貝類に中った時には、上からも下からも排出されるのは体の自然作用ですので、体内に入った毒(邪)に対しては、汗法、吐法、下法は経験的に理解しやすのではないでしょうか。

こちらの記事も参考にしてください「オートファジーで解毒が期待できるか?」