呼吸とコアユニット|自律神経の調整作用

呼吸の概論

「おぎゃー」と産声を上げてから息を引き取るまで、人は絶えず呼吸を続けることになります。まさに、「息(いき)」とは「生(いき)」ということです。

吸気は胸郭を広げて肺内に空気を取り入れます。吸息筋が収縮することで胸郭が拡大し、肺が伸長します。吸気運動では横隔膜や外肋間筋が働きます。呼気は胸郭を狭めて肺内の空気を体外にだします。呼吸運動をすることで肺胞のガス交換を行っています。

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ぽっこりお腹を改善|大腰筋と腹横筋のファシアリリース

女性にとって美容と痩身(ダイエット)は永遠のテーマ?

毎年、さまざまな方法が雑誌やテレビで紹介されますが、どれだけ効果があるのだろう。ダイエットもイベント化していますが、やはり運動と食事は基本であるに違いない。ここでは、姿勢からぽっこりお腹を考えてみましょう。

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腰部脊柱管狭窄症と診断された症状に対する鍼灸の一症例

医療機関でレントゲンやCT、MRIなどの画像検査、診断により、椎間板ヘルニアとか腰部脊柱管狭窄症などの病名が付けられますが、痛みやしびれの症状が必ずしも画像による所見と一致するとは限りません。腰痛の8割近くが原因が不明という報告もされています。40歳を過ぎれば何らかの骨の変形が見られても不思議でもありません。教科書にあるようにきれいに骨が並んでいることの方がむしろ珍しいといえるでしょう。

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みかんを食べながらファシアについて考えた

みかんとファシアの類似点

これから寒くなる季節、こたつに入りながらテレビを見て、みかんを食べるなんていう光景が昔はよくありましたが、最近はすっかり見ることが少なくなりました。テレビ番組ではサザエさんやまる子ちゃんがその雰囲気に近いでしょうか。昭和は遠くになりにけりといった感じです。今なら床暖の上に寝転がって、イヤホンをしてスマホをいじりながらオランジーナを飲むと言ったところでしょうか。

閑話休題
ここでは、みかんでファシアについて考えてみましょう。

みかんを剥くと写真のように一つ一つの房が薄い皮で覆われていることがわかります。これは筋肉がファシア(筋膜)に覆われていて、その隣接している部分はそれぞれのファシアが重なっている状態と考えることができます。

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からだの多くの部分では、皮膚から骨までの間に幾つかの筋肉が層になって存在しており、動作によってそれぞれ異なる方向に収縮・伸長します。動作時に引き攣れたり、痛みがでたりと可動域が悪い状態は、このファシアが肥厚・癒着しているか、隣接している部分の滑走性が悪いことなどが考えられます。近年注目されている「筋膜性疼痛症候群(MPS)」やエコーガイド下筋膜リリースなども、これらファシアの状態を重視しています。

つぎに、みかんを入れてあるネットを利用して筋膜の状態を考えると、左が正常、右は重積した状態になります。

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コラーゲン線維自体には、柔軟性はなく、巻きついたり、折り重なることで位置が変化し、柔軟性を維持しています。例えば、腕の皮膚(時計の文字盤の位置より、近位10センチぐらいの場所)を指で押しながら前後左右に動かしてみると、動きやすい方向と動きの少ないところがあります。撮んでみると伸びやすかったり、痛みが出たりするかもしれません。脂肪が多いと伸びやすい傾向にあり、痛みが出やすいところはファシアの動きが悪いところかもしれません。

動きがロックするとそれ以上は皮膚の動きが変化しにくい状態となります。ファシアには弾性、粘性、塑性の性質があり、それぞれの部分をコンパートしています。みかんでいえばそれぞれの房にわかれていて、そのユニットを全体として覆うように保護しその状態を保つわけです。

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上記の写真で腕に巻かれている格子状の保護材は筋膜のイメージです。筋膜は基質に細胞・線維・水分などでできており、弾性・粘性・塑性の性質があります。アキレス腱などは63%の水分が含まれているともいわれており、その滑走性には水分がたいへん重要です。

ファシアが重積する要因

上図のように重積した状態、つまりファシアが短縮(癒着)する原因 としては次のようなことが考えられます。

  • 姿勢の問題(長時間の同じ姿勢、動かないこと、身体の歪み、ねじれが長時間かかること)
  • 精神的(継続した交感神経の緊張状態、ストレス)
  • 怪我(回復するまで、筋肉は数日~数週間、筋膜はさらに時間がかかる)や炎症
  • 過去の手術
  • 年齢的な問題(必ずしも年齢だけの問題ではない)

ファシアをリリースする方法

筋膜が重積したような部位はトリガーポイントができやすく活性化しやすい状態といえます。凝りから痛みを感じるようになると、その痛みが別の部位に連鎖したり、代償行為により姿勢が悪くなりやすい傾向にあります。そのようなことからも、日頃からからだを動かすことが大切です。

ファシアという言葉や概念は新しい理論のような感じがしますが、ハリ治療は紀元前から行われており、その独特な得気(ズーンとした響き)はまさにファシア(筋膜)に対するアプローチということができます。筋肉より筋膜に感覚受容器が10倍近く多く存在しているといわれています。ストレッチをして伸びる感じがするのも、筋肉ではなくてファシアかもしれません。

ファシアの短縮を鍼や手技療法でリリースし、合わせて上記原因となる生活習慣の改善、そして適度な運動が必要となります。ある部分においては可逆的です。一回のリリースでは状態が戻りやすいので、根気よく繰り返しファシアリリースを施し、睡眠や姿勢、仕事、運動、食事などの日常生活を見直すことも必要となります。

※2015/9/14「鍼灸鶏肋ブログ」の記事を加筆修正しています。