ダンスのパフォーマンスを高めるストレッチ法について

ストレッチの方法と効果について

先日、何気ない会話の中で、ある若いダンサーの人がこんな話をしてくれました。「舞台の前にマッサージとストレッチをしたところ、からだが緩みすぎて軸が定まらなかった。」というのです。

ダンスだけでなく、多くのスポーツでストレッチは練習のプログラムに取り入れらています。その目的は、柔軟性の向上や関節可動域の改善、怪我の予防、疲労回復、関節拘縮や血液循環の改善、筋ポンプによる浮腫や冷えの改善、リラクゼーション効果など多岐にわたります。

その方法については経験的な要素も多く、また年齢や性別、運動をしているかいないか、怪我や痛みの有無など個人差があります。「心地よい刺激で」とか「痛いのは我慢しない」「呼吸を意識して」「同じポーズを長く行わない」など定量化できない説明も多いのではないでしょうか。

静的ストレッチングと動的ストレッチング

ストレッチングは静的ストレッチング動的ストレッチングに大きく分けられます。

一般的に行われているものは、ゆっくりと反動をつけずに可動域のぎりぎりまで伸ばして、しばらく呼吸をしながら保持するもので静的(スタティック)ストレッチングと呼ばれるものです。

一方、動的(ダイナミック)ストレッチングは、反動をつけて筋腱を伸張する方法になります。サッカー選手が試合前に太ももを上げながら、ウォーミングアップをしている様子がテレビでも放映されたりしますが、脊髄運動神経を興奮させる意味もあるようです。

ダンサーの方が行ったのは、静的ストレッチングになるので、柔軟性の改善は期待できるものの直後の筋力が低下し、運動パフォーマンスが落ちた可能性があります。ある報告によると、静的ストレッチによる筋力低下は数分間とありますが、ストレッチングによる自律神経への作用も影響したのかもしれません。

試合や舞台の前は、動的ストレッチング、終了後は静的ストレッチングとの使い分けが必要といえるかもしれません。

ストレッチとファシア(筋膜)リリース

ストレッチは筋肉を伸ばすと考えている人も多いと思いますが、伸びているのは筋肉を覆っている筋膜(ファシア)かもしれません。ファシアには感覚受容器が多く存在していますので、伸びている感じや痛みはファシアがリリースされている結果なのかも。

ストレッチはスポーツをする人だけでなく、多くの人に有益な効果が期待できます。年を取ると体が硬くなるといわれますが、座位や同じ姿勢での長時間労働や運動不足などによる筋の拘縮、加齢による水分量の低下などがその要因となります。

ストレッチと共にファシア(筋膜)リリースも最近注目されています。日ごろから運動やストレッチングを行うことも大切ですが、リリースをするには鍼で筋膜をはがして、マッサージをするとより効果的です。