最近、カッピングの問い合わせがあるのは、水泳選手のマイケル・フェルプスが発端らしい

※2017年ごろのブログ記事です

カッピングは古くて新しい治療法

このところ、日々の会話の中で不思議とカッピングの話題が続いていました。その元ネタをよくよく聞いてみると、先のオリンピックでアメリカの水泳選手、マイケル・フェルプスの肩についていたカッピングの痕が始まりとのこと。

映像を見ていた人々の間で、カッピングの赤黒い痕について「あれは何だ?」と話題となり、ネット上で拡散されたらしいのです。また、アメリカのセレブの間でもちょっとしたブームとなっているようです。

オリンピックの競技以外のシーンで、鍼やマッサージ、テーピング、カッピングなどの施術をしている様子が流れることがあります。以前、韓国のスケートの選手がウェットカッピングをしている映像や、日本の体操の選手が腰に針を打っている様子が放映されていました。ケガの治療やメンテナンス、コンディショニングなどで鍼灸を受けているスポーツ選手は実は少なくないのです。

さて、このカッピングですが、その歴史は紀元前にまで遡ることができる、古くて新しい治療法です。

その呼び方も、吸角、吸い玉、バンキー、抜缶、火缶、ヒジャマ(Hijama)、タコ吸い(内輪の言い方)など様々なものがあります。

カッピングには大きく分けて、ドライカッピング(Dry Cupping)ウェットカッピング(Wet Cupping)の2種類があります。

ウェットカッピングは皮膚をかみそりなどの刃物で傷をつけてカッピングをする方法です。ペルシャ系の治療でよく見ることができます。Youtubeにも動画がたくさんアップされていますので、「Wet Cupping」や「Hijama」で検索すると見ることができます。

一方、ドライカッピングはガラス玉を皮膚上に付け、陰圧にして吸引する方法になります。マイケル・フェルプスの肩についていた痕はおそらくドライカッピングだと思います。上記の写真のように、アルコールを燃やした綿花をガラス球に入れて酸素を燃やして陰圧にする方法や手動や電動ポンプを利用するやり方があります。

カッピングの効果としては、局部的な痛みや凝りの解消、疲労回復、循環障害の改善、血行促進、冷えの解消などが考えられます。

ドライカッピングの施術の様子

頚肩から背中にかけて慢性的に凝りや時には痛みを感じているというクライアントさん。ドライカッピングを肩から背中を中心にかけてみました。時間は2,3分です。吸引している皮膚がすぐに赤黒く変化してきました。色が濃いほど血流が悪く、瘀血(オケツ)の状態にあると考えますが、体質によってすぐに痕がつきやすい人、つきにくい人があります。

また、気血の少ない人(ざっくりいうと、元気や体力のない人、冷え性、病中病後の方、発汗するとかえってぐったりしてしまうなど)は色がつきにくい傾向がありますので、このような人は先にお灸や温灸などにより気血を補う必要があります。

吸引して痕をつけることが目的ではないので、強く吸引したり、長時間行う必要はありません。

ドライカッピングにはこのように吸引した状態でしばらく置いておく方法やつけたり外したりを繰り返す方法(陽気を高めます)、オイルを塗った皮膚上にカッピングを行いスライドしてマッサージ効果を加えるなどのやり方があります。

このように、短時間で赤黒く痕がつくような症状であれば、ドライカッピングよりもウエットカッピングの方が有効かもしれません。